最高裁判所第三小法廷 昭和30年(あ)2977号 判決 1957年12月17日
主文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
弁護人島田武夫の上告趣意について。
食糧管理法九条一項にいう「譲渡其ノ他ノ処分」の中には、譲受や買受をも含むものと解するのが相当である。従って、同法九条一項は、政府が本件のような主要食糧の買受行為を禁止するため必要な命令をなすことを得る趣旨をも包含するものと解すべきこともちろんであるから、同法施行令六条一項の規定は、同法九条一項の委任の範囲を逸脱したものではない。それゆえ、所論違憲の主張はその前提を欠くことに帰し、刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らない。
また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己)